
うつわの物語| 7/18–7/31, 2026

7/18(土)より、TOKYO FANTASTIC 201にて、
Enkelさんと財満晋平さんによる企画展「うつわの物語」が始まっています。
うつわには、かたちや色の奥に、それぞれの物語が宿っています。
土が生まれた土地のこと。釉薬が流れた時間のこと。
窯の中で火に委ねられた景色。
これから誰かの暮らしの中で、少しずつ育っていく時間のこと。
店内には、Enkelさんの光を含んだような半磁器のうつわと、
財満晋平さんの土と火の気配をまとった陶器のうつわが並びます。
会期初日は千葉からEnkelさん、
はるばる広島から財満晋平さんも
TOKYO FANTASTIC 201に在廊くださいました。
紫色のビー玉の記憶から生まれたEnkelさんの釉薬、
思いがけず黄色く発色した財満さんのカップなど、
それぞれのうつわに宿る物語を伺いました。
インスタライブの様子も、ぜひ合わせてお楽しみください。
淡いもの。深いもの。軽やかなもの。おおらかなもの。
ふたつの景色が響き合いながら、
TOKYO FANTASTIC 201の空間に、新たな物語が紡がれていきます。
光を含んだ色の物語
Enkel(半磁器)

Enkelさんからは、半磁器のうつわたちがたっぷりと届いています。
ブルー、ピンク、グリーン。
水彩画のようにみずみずしい色が、やわらかく溶け合う釉薬の景色。
花びらのようなかたち。小さな泡のような模様。淡い色の重なり。
ひとつ手に取るたびに、Enkelさんのまとう空気を感じて静かに胸が高鳴ります。
Enkelという名前には、
「普通でちょうど良い」という意味が込められています。
特別すぎるものではなく、日々の食卓に自然と並び、
ふと目に入ったときに、少し心が明るくなるようなうつわ。
暮らしの中にそっと寄り添いながら、色の奥に、
自分だけの物語を見つけられるような作品です。
自由に使ううつわ
Enkel(コンポート・マグ・花器)
Enkelさんと作品のお話をしていると、
「うつわって、こんなに自由なんだ。」そんな気持ちになります。
気になる作品を前にするたび、
「これは、何に使ううつわですか?」と、つい尋ねてしまう私たち。
返ってくるのは、いつも同じ言葉です。
「自由に使ってほしいんです。」
印象的なチェック柄のコンポートも、見る人によって使い方はさまざま。
花を生けたり、季節のフルーツを盛ったり、わんちゃんの水飲み鉢にしたり。
何も飾らず、そのままオブジェとして置いても絵になります。
夏の昼下がりの木陰を思い浮かべて、ゴアナクロー、サンダーソニア、
ひまわりを合わせると、くるくると自由に描く線と、
キャンディーカラーのやわらかな色、真夏の太陽のような明るさが重なります。
「こう使わなければいけない。」そんな決まりを手放して、
思い思いのひらめきから、それぞれの使い方を見つけていく。
その発見の時間もまた、Enkelさんのうつわの楽しみ方のひとつです。
名前から広がる釉薬の景色
Enkel(春霞・苔桃・星海・空霞・紫苑光)

Enkelさんのうつわには、名前から景色が立ち上がる作品があります。
紫苑光|丸マグ
掌の中で光を宿していた
大切な記憶を映した釉薬です。
丸みのある輪郭と、光を含んだような紫色。
手のひらで包み込むと、
記憶の中の宝物をそっと眺めているようです。
露草|丸マグ
静かな光をにじませながらやさしく心に残る釉薬です。
丸マグのふっくらとした形に、
朝露をまとった花のような景色が広がります。
春霞|マグ。桜の薄紅と、葉桜の淡い緑。淡い桃色と緑が混ざり合い、
春の景色がゆっくりと移ろうような釉薬です。
毎日の飲みものを注ぐたび、やわらかな季節の気配を感じられます。
苔桃|カップ(しずく)。深い緑と紫、黄や淡い桃色がにじみ合うカップ。
小さなしずくのような形の中に、森の足元に広がる景色が凝縮されています。
星海|お皿(かさなり)。深い青の中に、白や淡い色の粒が浮かぶお皿。
ゆるやかに重なる縁の輪郭とともに、
夜空と海が溶け合ったような表情を見せてくれます。
空霞|花型湯呑み。花びらのように波打つ口元に、
水色や紫色が淡く重なります。
お茶を注いで手に取ると、春の空を小さく切り取ったような一客に。
料理を盛るときに見える色。
手に取ったときに現れる釉薬の流れ。
棚に伏せて置いたときの佇まい。
同じ釉薬であっても、色のにじみ方や重なり、
光を受けたときの表情は一つひとつ異なります。
器の形から選ぶこと。心に残る色や、名前から選ぶこと。
ご自身の暮らしに重なる景色を思い浮かべながら、
ゆっくりとお気に入りを見つけていただけたら嬉しいです。
土と火の記憶をまとう
財満晋平(陶器)

財満晋平さんのうつわには、
広島・安芸津の土や、工房「風陣窯」の火、土と火の中から立ち現れる景色が宿っています。

深い緑、飴色、琥珀のような茶色、黒に近い釉薬の奥にひそむ光。
落ち着いた佇まいの中に、釉薬の流れや溜まり、縁に残る焼き色、
表面の細かなゆらぎがあり、じんわりとした熱が残っています。
財満さんが大切にされているのは、
長く使ってもらえる、暮らしの中の「普通の器」。
けれどその普通は、ただ控えめということではなく、料理を受け止め、使い手の毎日に馴染み、
時間を重ねるほどに愛着が増していくような、深く美しい普通です。
野趣と静けさのあいだ
財満晋平(花器・急須・湯呑み)
広島の陶芸作家・財満晋平さんのうつわに、夏の植物を生けました。
深い緑、艶のある黒、土を思わせる褐色。
そこへ大胆に流れ落ちる釉薬の景色。
素朴な土の気配を残しながらも、輪郭や色の重なりには、
どこか張りつめた美しさがあります。
沖縄で陶芸を学ばれていた財満さんに合わせて選んだのは、斑入りの月桃。
大きな葉が、まっすぐに空間を切り取り、白い壁の前へ、南の島の湿った風を運びます。
細く長く垂れるアマランサスは、野に生きる植物の荒々しさを持ちながら、
一粒一粒の小さな花に、とても繊細な表情を宿しています。
野趣と繊細。力強さと静けさ。
相反するもののあいだを行き来するように、
茎の曲線や花の重なりが、うつわの奥にある土の気配を引き出します。

金属質の表情をまとった急須は、銀灰色の光を帯び、一見すると金属の器のよう。
近くで見ると、胴をめぐるろくろの目や土の粒、ゆるやかに歪んだ輪郭が見えてきます。
ざらりとした土の質感と、鈍く光を返す鉄のような肌。
硬質な印象の奥に、手で形づくられた温度が残っています。
深い緑の湯呑み、白地に茶褐色の釉薬が枝分かれするように流れる湯呑み、
艶やかな飴色の湯呑み。
どれも、正面をひとつに決められないほど、
見る角度によって釉薬の流れや光が変わります。
鉄を思わせる冷たい輝きと、手の中で伝わる土の温かさ。
異なる質感がひとつの器の中に共存し、お茶を淹れるいつもの時間に、
静かな美しさを添えてくれます。
大地の景色と夜の欠片
財満晋平(泥文ポット・夜の欠片)

財満晋平さんの「泥文ポット」は、大地の景色を、
そのまま抱えたようなうつわです。
ふっくらとした胴に、大きく弧を描く持ち手と、すっと前へ伸びる注ぎ口。
土の肌を、土を水で溶いた化粧土が走り、
財満さんらしいスリップウェアの表情を描いています。
白いポットには、炭や雨の跡にも見える、黒から灰色の流れるような線。
深い茶色のポットには、花びらや大地から伸びる芽のような模様が、
おおらかなリズムで描かれています。
手に取ると伝わるのは、土の重みと、大地を思わせる力強さ。
使う時間を重ねるほど、土と火から生まれた景色が、
暮らしの中へゆっくり馴染んでいくようです。

「夜の欠片」は、深い黒の上に、
鳥、魚、星、植物、動物たちが浮かぶ作品。
やわらかな土色のかたちは、遠い昔の壁画や、
夜の夢に現れた記号のようにも見えます。
ひとつひとつは、角や辺が少しずつ異なるパズルのようなかたち。
寄せて並べると、いくつもの欠片がつながり、
ひとつの大きな夜の景色が現れます。
完成した姿だけでなく、欠片がばらばらに散らばっている景色にも、
この作品ならではのロマンがあります。
まるで夜の途中から、お気に入りの場面だけを拾い集めてきたような佇まい。
壁に掛けて、一枚の絵のように眺めても。
卓上に置いて、アクセサリーや小さなものを受け止める小物置きとして楽しんでも。
組み合わせ方や飾る場所によって、そのたびに違う物語が生まれます。
うつわを選ぶ時間
Enkel & Zaima Shimpei
(うつわの物語)

初日には、千葉からEnkelさん、広島から財満晋平さんがTOKYO FANTASTIC 201へお越しくださいました。
器を手にしながら、釉薬のこと、窯のこと、
焼き上がるまでわからない景色のことをお話しくださる時間。
作品の奥にある手の動きや、窯の中で起きた時間まで、少し近くに感じられる一日です。
Enkelさんの、光を含んだような軽やかな色。
財満晋平さんの、土と火から生まれる力強い佇まい。
ふたつのうつわの景色が並ぶことで、静かなもの、おおらかなもの、淡いもの、深いもの、
それぞれの作品に込められた物語が、より立体的に浮かび上がってきます。
表と裏を見比べ、重さや手触りを確かめながら。
食卓で使う景色を思い浮かべながら。棚に置いたときの光を想像しながら。
ふと目が合った作品の奥にある、物語の欠片を感じながら。
うつわを選ぶ時間は、自分の心に寄り添ってくれる物語と
出会う時間でもあるのかもしれません。
「うつわの物語」は、2026年7/18(土)から7/31(金)まで。
毎週水曜日は定休日です。7/20(祝・月)海の日は営業いたします。
ご自身の暮らしに長く寄り添ってくれる一点と、
ゆっくり出会っていただけましたら嬉しいです。
日常の食卓に、静かな物語を連れてきてくれるうつわとの出会いを、
TOKYO FANTASTIC 201にて、どうぞお楽しみくださいませ。
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